痛みを抑える工夫と技術

痛みを抑える工夫と技術


仁静堂平山歯科医院では、可能な限り痛みを抑えることを目指した治療をされていました。

局所麻酔法と全身麻酔法・鎮静法


麻酔には局所麻酔と全身麻酔があります。
歯科で使用される麻酔は主に局所麻酔です。局所麻酔は、歯科手術や治療を行う際に特定の口腔領域の感覚を一時的に失わせるために用いられます。

歯科治療で一般的に使われている表面麻酔・局所麻酔

以下は歯科でよく使用される局所麻酔薬についての概要です。

リドカイン:最も一般的に使用される局所麻酔薬の一つで、効果は通常数時間持続します。

アルティカイン:リドカインよりも速く効果が現れることがあり、骨に近い領域の治療に適しています。

プリロカイン:低い濃度で効果が現れるため、他の麻酔薬に対するアレルギー反応が心配される患者に使用されることがあります。

メピバカイン:低い血管収縮作用を持つため、心臓病のある患者に用いられることがあります。

ブピバカイン:他の麻酔薬に比べて効果が長持ちするため、長時間の手術に適しています。

これらの薬剤は、注射によって直接治療部位の近くに投与されます。麻酔薬は感覚神経を一時的に麻痺させることで、痛みを感じないようにします。局所麻酔は全身麻酔と異なり、意識を失うことはなく、麻酔が効いている部位だけが感覚を失います。

ただし、麻酔薬には副作用やアレルギー反応のリスクが伴うため、歯科医は患者の健康状態やアレルギー歴を考慮して最適な麻酔薬を選択します。また、患者によっては、麻酔薬の効果に個人差があることもあります。

大きな手術をする場合や、歯科恐怖症の方に適用する全身麻酔


全身麻酔は、手術や特定の医療処置の間、患者を意識不明の状態にするために用いられる麻酔法です。これにより、痛みを感じることなく、身体の動きを完全に制御することが可能になります。全身麻酔は、主に以下の三つの主要な成分によって成り立っています。

催眠薬:患者を睡眠状態に導き、意識を失わせます。
鎮痛薬:痛みを感じないようにします。
筋弛緩薬:筋肉をリラックスさせ、手術中の身体の動きを制御します。
全身麻酔は通常、吸入麻酔薬と静脈麻酔薬の組み合わせで行われます。吸入麻酔薬はガスや蒸気の形で、静脈麻酔薬は注射によって投与されます。

全身麻酔のプロセスは以下のように進行します:

準備:麻酔前の評価が行われ、患者の健康状態やアレルギー歴が確認されます。
導入:催眠薬と鎮痛薬が投与され、患者は眠りにつきます。
維持:手術中、患者の麻酔状態が維持されます。
覚醒:手術が終了すると、麻酔薬の投与が停止され、患者は徐々に意識を取り戻します。
全身麻酔はリスクを伴いますが、これらは患者の年齢、全身の健康状態、手術の種類などによって異なります。麻酔科医はこれらのリスクを管理し、患者の安全を最優先に考慮しながら麻酔を行います。

手術中だけでなく、術後の回復期間中も密接な監視が必要です。全身麻酔からの回復は個人差があり、一部の患者は吐き気や嘔吐、頭痛、筋肉の痛みなどの副作用を経験することがあります。

気持ちをリラックスさせる鎮静法


歯科治療における鎮静法は、患者の不安や恐怖を軽減し、リラックスさせるために用いられる方法です。これは、特に歯科治療に対する恐怖心が強い患者や、長時間にわたる複雑な手術を必要とする患者にとって有効です。鎮静法は軽度から深度まで異なるレベルがあり、患者のニーズや特定の治療プロトコルに応じて選択されます。以下に、歯科治療における主な鎮静法を紹介します。

吸入鎮静法(笑気酸素鎮静法):

最も一般的な鎮静法の一つ。
笑気ガス(酸化窒素)と酸素の混合ガスを使用。
患者は意識を保ちつつもリラックスし、痛みが軽減されます。
手術後の回復が早い。
経口鎮静法:

治療前に鎮静剤を経口摂取。
軽度から中等度の鎮静効果。
手術前に服用するため、計画的な治療に適しています。
静脈内鎮静法:

静脈経由で鎮静剤を投与。
より深い鎮静が可能で、即時性があります。
患者の意識はある程度保たれますが、治療の記憶はほとんどないことが多い。
深い鎮静法と全身麻酔:

深い鎮静または全身麻酔は、特に複雑または長時間の手術に用いられます。
患者は意識を失い、手術中の記憶がなくなります。
専門の麻酔医が必要で、厳重な監視が伴います。

痛みの少ない器具による治療

エアタービンは、歯科治療において広く使用される高速回転ドリルです。この装置は空気圧を利用して動作し、多くの歯科手術で必要とされる精密かつ効率的な切削作業を可能にします。

エアタービンの使用は、歯科治療の効率と精度を大幅に向上させています。しかし、高速回転による熱発生や切削粉の吸入などのリスクもあるため、適切な使用方法と安全対策が重要です。また、定期的なメンテナンスが必要で、特にタービンの清掃や滅菌は感染予防のために欠かせません。

カリソルブ(Carisolv)は、虫歯の治療に用いられる最小侵襲歯科治療製品の一つです。この方法は、虫歯によって損傷した歯の組織を取り除く際に、従来のドリルを使用する代わりに化学薬品を使用します。カリソルブの目的は、虫歯によって軟化した歯質のみを選択的に除去し、健康な歯質をできるだけ保持することにあります。

カリソルブの使用は、虫歯治療のための選択肢を拡大し、特に小児や恐怖心を持つ患者にとっての治療選択肢の一つとして有効です。ただし、すべての虫歯症例にカリソルブが適しているわけではなく、虫歯の進行度や位置によっては従来のドリルを用いた治療が適切な場合もあります。また、カリソルブの治療時間は従来のドリルを使用する方法よりも長くなることがあります。

仁静堂平山歯科医院院長の「歯の治療の痛みと麻酔」について綴った雑文が掲載されました。

仁静堂平山歯科医院の院長である、平山明さんの「歯の治療の痛みと麻酔」について綴った雑文が過去に掲載されていたようです。